20140730

治療費について

けが人、救急救命士


交通事故の被害に遭われると、第一に考えなければならないことは、「ケガの治療」です。

ケガの治療が終了して、損害賠償の交渉、示談の話し合い、となりますが、「ケガの治療」においても考慮すべきポイントがあります。

交通事故のケガの治療、治療費について解説いたします。

治療費の重要ポイント


負担は、だれがするのか・・・


加害者が任意保険に加入している場合


任意保険の保険会社が、被害者の治療の自己負担分(窓口負担分)を、医療機関との合意により、「一括払い」として、医療機関に直接、支払います。

わが国では、8割ほどが、自賠責保険と任意保険に加入していますので、治療費に関して、被害者は特に考慮することなく治療に専念できるかと思います。

そうでない場合は・・・

加害者が任意保険に加入していない場合


医療費の代理請求

医療機関が、事故の被害者のから医療費請求の委任を受けて、自賠責保険に対し、被害者請求 を被害者に代理して行うという方法。

被害者による支払いと被害者請求

被害者が自分の健康保険を使って治療を受け(健康保険組合へ「第三者行為傷病届」の提出が必要です。)、治療費を支払い、後日、領収書を自賠責保険へ提出して、被害者が支払った治療費を回収すると言う方法です。

こちらは、任意保険に加入していない場合に、やむを得ず行う方法でしょう。

交通事故で怪我をおった被害者の方が、自ら治療費を一旦、負担するというのは、なかなか心情的に割り切れないかもしれません。

加害者による支払いと加害者請求

加害者が被害者の治療費を立替え払いし、後日、領収書を自分の自賠責保険へ提出して、被害者が支払った治療費を回収すると言う方法です。

自賠責保険 + 任意保険 の契約がほとんどで、任意保険会社が示談交渉を代理する現状では、ほとんどないのかもしれません。

また、被害者の方も加害者と直接、しかも医療機関にて関わりを持つというのは、望まないかもしれませんね。

認められる 治療費


被害者の治療費は、症状固定時までの、治療費(医薬品代、手術代など)、入院費が、必要かつ相当な範囲で、実費額が損害として認められます。

注意すべき治療費


必要かつ相当な範囲」での治療は、その治療費が認められますが、過剰診療、高額診療は、診療として認められない場合もあり、注意が必要です。

過剰診療


医学的に、必ずしも必要のない診療・治療のことです。

必ずしも必要とはいえないのですから、賠償請求が認められない場合があります。

高額診療


通常の診療や治療は、健康保険が適用されます。

交通事故の治療の場合、医療機関によっては,健康保険扱いとせずに自由診療扱いとするところもあります。

自由診療は、健康保険の適用される診療・治療報酬に比べて、その報酬は高額となります。

そのため,自由診療が、高額診療と判断され、全額の請求が認められないという場合も考えられます。

交通事故診療においても健康保険の適用が認められます。健康保険の適用のある診療を医療機関に要請するのがよいでしょう。

治療の有効性


医療機関での治療の有効性は、損害として治療費を認定する際に、考慮されるのでしょうか・・・?

つまり、治療としての効果が明らかに認められない場合は、その治療費は認められないのでしょうか・・・?

答えは、「いいえ」。

事故と治療行為との因果関係は否定されず、医療機関が必要として行った治療行為は、結果として無効とされても。治療費が減額されるものではありません。(福岡高判 平成19年2月13日、参照)

整骨院等の治療費


東洋医学による治療費が損害としてみとめられるか」にて説明しています。ご参考ください。

将来の治療費


後遺障害が残ってしまう交通事故の場合,症状固定後にも医師による診療・治療を受けるということがあります。この症状固定後の将来の診療費は、損害として認められるのでしょうか・・・?

後遺障害の残る事故の場合、治療費は、症状固定前(過去)の治療費と症状固定後(将来)の治療費とに分けることができます。

「症状固定」とは


医学的な意味での症状固定それ以上診療や治療を施しても、傷病の症状の回復・改善が期待できなくなった状態を言います

賠償上の意味での症状固定 :賠償関係から見た場合は、賠償期間の終期を意味します

つまり、「症状固定」は医学上の問題にみならず、賠償関係における問題をも含みます。

被害者にとっては、極めて大切な事柄です。

医師の一方的な判断で行われることは妥当とは言えません。被害者としても、医師と十二分に相談して、合理的に決定していく必要があります。

症状固定前(過去)の治療費


損害として認められます、よほど例外的場合以外は、争いがないでしょう。

症状固定後(将来)の治療費


改善が見込めない状態である、症状固定後の治療、診療は意味がないとも考えられます。

症状固定後の治療費は、原則的に、傷害である治療費には該当しません。

症状固定後(将来)の治療費が認められる例外


症状固定後において、治療を受けなければ、症状が悪化してしまい、症状固定時の状態を保存できないという 特別な事情 がある場合には、損害として認められる場合もあります。

「特別な事情」とは


医師の指示等が必須でしょう。

症状固定後の診療費を損害として請求するには、医師に将来的に必要となる治療、その治療を行わない場合、どのように症状が悪化するのかについて、事前に、診断書、意見書、鑑定書と言ったものにより、医学的根拠を明確にすることが必要です。

実際の対応は・・・


症状固定時を基準として、固定前(過去)の 治療費 と、固定後(将来)に関しては 逸失利益(後遺障害がなければ得られていたであろう収入等の利益のこと)として、損害賠償金額を算定し、請求していくこととなります。

そのためにも、前記の 症状固定日の設定 は、慎重に行わなければなりません。

慎重に検討し、納得のいく損害賠償で解決しましょう!

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